あらすじ
奈々と大器は、妊娠のことを周囲に報告する。
聡子や健作たち五十嵐家の面々はもちろん、上京した奈々の母・春枝も、心からふたりを祝福した。
大器は、生まれてくる子どものために会社からおもちゃを持ち帰る。
奈々も、区役所で母子手帳を交付してもらっていた。
バーベキューパーティーの日。
奈々や大器たちは、手分けして準備を進めていた。
ところがその最中、突然奈々が倒れてしまう。
奈々は流産だった。
片岡医師は「奈々を支えてあげてほしい」と大器に告げると、凍結している受精卵があるので回復を待って再度チャレンジしようと提案するがそんな状態ではない。
大器は、本社でアウトレットモールに関するプレゼンをする。
辛い思いをこらえながら、何とかプレゼンをやり遂げる大器。
片岡と今後の治療方針を話し合うため、奈々は、外出の支度をしていた。
だが、バッグにつけたままになっていたマタニティーマークが目に入ると、それを引きちぎり泣き崩れてしまう。
大器が帰宅すると、奈々の姿がなく、テーブルの上には手紙が残されていた。
そこに記されていたのは「一度宿った命が消えてしまったことを受け入れられない苦しみや大器をパパにしてあげたいという夢が叶わないかもしれない」という奈々の深い悲しみだった。
流産とは?
妊娠したにもかかわらず、妊娠の早い時期に赤ちゃんが死んでしまうことを流産と言います。
定義としては、22週(赤ちゃんがお母さんのお腹の外では生きていけない週数)より前に妊娠が終わることをすべて「流産」といいます。
妊娠12週未満の早い時期での流産が多く、流産全体の約80%を占めます。
《日本産婦人科学会より》
人の精子と卵子のほとんどが染色体異常と言われています。
そんな中で、きちんと受精し流産を乗り越えて出産に至る確率はおよそ5%前後です。
子供が元気よく誕生するのって本当に奇跡なんです。
妊活は「妊娠」が全体の目標ではありません。
妊娠できても、何らかの原因で流産に至る可能性は決して低くなく、むしろ高いのが今の現状です。
流産の頻度と原因
《頻度》
妊娠の約15%前後が流産に至るとの統計もあり、多くの女性が経験しています。
日本人の妊娠率は、およそ20%と言われています。
15%が流産に至る統計がでているのであれば、元気に産まれてくる赤ちゃんはそのうちの[keikou]5%[/keikou]となる計算です。
《原因》
[keikou]染色体異常[/keikou]が最も多く、卵子と精子が受精卵になった時、卵のなかで細胞分裂を行います。
その時に、卵子または精子どちらかに染色体異常があると上手く一つの細胞を作るのが困難になり人間の身体を形成することが難しくなります。
また、母親の妊娠初期のお仕事や運動が原因で流産に至ることは‘‘ほとんどない’’と言われています。
流産の種類
流産にはさまざまな状態があり、それぞれに名前が付いています。
種類もたくさんありますので、ご説明します。
《原因による分類》
- 人工流産
いわゆる「人工妊娠中絶」のことです。母体保護の目的で母体保護法指定医によって行われる手術です。
- 自然流産
上記以外の自然に起きる流産のことすべてを言います。手術の有無は関係ありません。
《症状による分類》
- 稽留流産
胎児は死亡していますが、出血・腹痛などの症状がない場合をいいます。自覚症状がないため、婦人科診察で初めて確認されます。治療法としては、入院して子宮内容除去手術を行うのが原則ですが、外来で経過を見て自然排出を期待する場合があります。
- 進行流産
出血がはじまり、子宮内容物が外に出てきている状態です。いわゆる「流産」の状態のことをいいます。
下記のように「完全流産」「不全流産」に分けられます。
《流産の進行具合による分類》
- 完全流産
子宮内容物がすべて自然に出てしまった状態を言います。出血、腹痛等は治まってきている場合が多いです。経過観察(場合によっては子宮収縮剤投与を追加)で対処できることが多い病態です。
- 不全流産
子宮内容の排出が始まっていますが、まだ一部が子宮内に残存している状態です。出血・腹痛が続いていることが多く、子宮内容除去手術を行う場合が多い病態です。
《流産に伴う状態による名称》
感染流産
細菌やウイルスなどによる感染を伴った流産です。母体死亡のリスクが上昇するため、慎重な管理が必要となります。
[aside type=”boader”]胎児に影響する主な細菌や原虫(太字は胎内感染)
- クラミジア・トラコマティス:肺炎・結膜炎
- 梅毒トレポネーマ:早発性・遅発性梅毒(遺伝)(〇)
- B群溶連菌:敗血症・髄膜炎
- トキソプラズマ:水頭症・網脈絡膜炎(〇)
胎児に影響する主なウイルス(太字は胎内感染)
- 風疹ウイルス:先天性風疹症候群(×)
- サイトメガロウイルス:巨細胞封入体症・神経学的後遺症(×)
- 単純ヘルペスウイルス:新生児ヘルペス
- 水痘・帯状庖疹ウイルス:先天性水痘症候群(〇)
- B・C型肝炎ウイルス:新生児・乳児肝炎、キャリア化(Bの場合〇)
- パルボウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス:子宮内胎児死亡(×)
- インフルエンザウイルス:流産(×)
- 成人T細胞白血病ウイルス:キャリア化
〇:予防策があります
✖:予防策がありません
[/aside]このように胎内感染した場合、ほとんど予防策がありません。
かからないのが一番良いですが、もし妊娠初期に感染した場合、医師から人工流産(中絶)を勧められます。
感染しないために、マスク・手洗い・うがい等の基本的なことのほか手指消毒や空気清浄機など室内の空気などにも気を使い感染から赤ちゃんと身を守りましょう。
《流産の回数による名称》
習慣流産
流産を3回以上繰り返した場合を「習慣流産」と言います。流産は上記のように多くの妊娠で見られ、誰にでもおこる病態です。しかし、3回以上繰り返す場合は両親に何らかの疾患がある場合もあります。専門医療機関で精査を行うことも可能ですが、原因がはっきりしない場合も多いのが特徴です。
《流産の時期による名称》
「生化学的妊娠(生化学的流産)」: biochemical pregnancy (preclinical spontaneous abortion/miscarriage)の訳語です。わが国ではChemical abortion(化学的流産)と呼ばれることも多いようです。
尿を用いた妊娠反応は出たものの、超音波で妊娠が確認できる前に流産してしまった状態 を言います。
妊娠反応試薬が薬局等で販売され、広く一般につかわれるようになったためにクローズアップされてきた病態です。
妊娠 反応を行わなければ妊娠と気付かず、月経と考えて過ごしてしまっていることが多いと考えられます。
いかがでしたか?
細かくみていくとこんなにたくさんあるんですね(汗)
流産の原因はたくさんありますし、尚且つ誰にでも起こりうることです。
特に風疹ウイルスは感染が多いとの報告もありますので、風疹抗体の有無や自身の病気、細菌感染の有無の確認のためにも必ずクリニックは受診しましょう。
日本の生殖医療の実際
日本では32万6426回の体外授精が行われ、3万7953人の赤ちゃんが生まれたというデータが事実として発表されました。
つまり、体外授精を行い出産までたどり着けるのは約1割(10%)程度しかありません。
これは卵子を10個採卵し、受精卵にし、子宮に戻したら1人赤ちゃんとして生まれるかも?しれないという数字です。
さらにこの10年で体外授精の件数は3.6倍と大きく上昇しましたが、出産件数は2.3倍と伸び悩んでいます。
日本の体外授精技術では受精卵として子宮へ戻すことができるのが2割程度。出産まで育つ受精卵は1割。
この差の1割は受精卵として移植されたが染色体異常や流産などで育たず、生命が失われたと言えます。
目を背けてはいけないのは、日本は体外受精件数は世界トップクラス。体外授精の出産率は世界ワースト1という事実。
体外授精の件数が増えても出産件数が追い付いていない(=成功率が下がっている)ことを考えると現状では妊活の理想とは言えないと思います。
妊活をスムーズに進めるためには?
みなさん、ショートケーキを思い浮かべてみて下さい。
ショートケーキは土台にスポンジその上にフルーツや生クリームが間に入り、その上にまたスポンジ。
一番上に立つのは苺です。
どうしてケーキってあんなにふわふわなのに崩れず立つと思いますか?
それは、[keikou]土台がしっかりしているから[/keikou]です。
みなさんは、ショートケーキの苺は最初に食べますか?それとも最後に食べますか?
順序が大切です!
妊活もケーキに置き換えて考えてみます。
苺を目標の「妊娠」とすると、その下のフルーツや生クリームはクリニックでの検査や治療が当てはまります。
そして土台となるスポンジは、自分のカラダの状態です。
あなたのカラダが今どんな状況か(便秘の有無や月経状況)の把握ができていますか?
カラダの基本的な機能がきちんとしていないと、正直クリニックで不妊治療を続けていても足踏みしているだけだと思います。
薬の作用は強弱がありますが、良く言えば‘‘カラダをすぐに変えてくれるもの’’
悪く言えばそれが‘‘カラダにとっては大きな負担’’にもなっているんです。
もちろん、何が悪いのかという不妊の原因を見つけるために病院に通い、治療することは最優先すべきです。
そもそも、妊娠力とは病気などの原因が妊娠を妨げているほか[keikou]卵子の質[/keikou]も大きく関与しています。
モチベーションが大切です!
卵子の質=細胞の質です。
皮膚や粘膜、筋肉、臓器ももちろん細胞からできています。
顕微鏡で見ると本当に細かく一つ一つ細胞になっていて、それぞれのお部屋にDNAが入っています。
学生時代はそれを模写する授業がありましたので鮮明に覚えています。
細胞は、普段あなたが口にする食事などの栄養素が材料になり、作られています。
まずあなたが今日からできること、今あなたがコツコツ毎日やっていることは母になろうとしていることです。
妊活は、気持ちがネガティブになりやすいと言われています。
ですが‘‘病は気から’’という言葉があるように「私は子供ができないカラダなんだ・・・」などネガティブなことを考えていてもいけないと、わたしは思います。
そこで気持ちを入れ替える一つの提案として、新しいことを取り入れる(体質改善をする)ことです。
例えば、食べ物を変えたり、運動をしてみたり・・・など自分でカラダに良い事をしていくんです。
カラダが変われば、それが妊活のモチベーションにも繋がりますし、妊娠しやすいカラダに近づいている証拠です。
土台を変えていくと、必ずカラダも変わってきます。
モチベーションがあがると心も変わります。
もしかすると、食べ物の好みも変わるかもしれませんね!
今まで出なかった便が毎日出るようになったりなど。
排便も妊活では、とても大切な機能の1つです。
それが、妊娠しやすいカラダづくりの基本の「き」なんです。
妊活は苺やクリームから食べるのではなく、スポンジ(土台)からです!!
まとめ
いろいろ掘り下げてまとめていくと、
- カラダの基本(細胞)がきちんとできていないと妊娠が難しい
- 細胞(卵子)が良質でなければ妊娠が難しい
- 土台(カラダを作る細胞が良質である)があってこそ妊活はスムーズに進む
- 流産の最も多い原因は染色体異常
- 体外受精の実施件数は世界トップクラス、それに対し体外受精での出産件数は世界ワースト1位
- 普通に妊娠しても元気に産まれてくる赤ちゃんはわずか5%の奇跡
もう一度いいますが、妊活は順序が大切です。
妊活をもっとスムーズに行えるために、私たちセラピストはあなたに寄り添い、持っている知識を精一杯発揮しあなたに最高の治療を提供します。
あなたのカラダに必要なものは何か、反対に何が不要なのか。
妊活に対してのお悩みも含めすべてご相談下さい!
きっと私たちが、あなたのお役に立てると思います。