私たちの業界では最近になって副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)という言葉を耳にするようになりました。
以外に思われるかもしれませんが、妊活にも関係があるので記事にしてみました。
副腎とは?
副腎とは人のカラダの臓器の1つで、副腎というくらいなので腎臓の上についています。
ピラミッドのような形をしています。
内分泌系に属し、主なお仕事はホルモンを作ること。
副腎で作られるホルモンは
【皮質】
- アルドステロン(鉱質コルチコイド)
- コルチゾール(糖質コルチコイド)
- アンドロゲン(性ホルモン)
【髄質】
- アドレナリン(エピネフリン)
- ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)
ちなみに皮質と髄質の違いは、肉まんに例えると白い皮が「皮質」、あんが「髄質」のようなイメージです。
ホルモンって?
ホルモンとは脳からの命令を血液に乗って各器官に仕事を依頼する化学物質です。
脳は生命を維持するためにセンサーをたくさん持っていて、命令を行っていますが
命令を直接送ることができないものもあります。
そこで命令をするためのツールとしてホルモン(内分泌)があるんですね。
ホルモンは血流に乗って各器官に働きかけます。
ホルモンを作る器官は
- 下垂体
- 松果体
- 甲状腺
- 副甲状腺
- 副腎
- 膵臓
- 性腺
これらがあります。
なぜ副腎が疲労する?
仕事に追われて、ストレスが溜まりがちな日本人の生活は、自然と疲れがたまるシステムになってしまっていると感じます。
例えば、
- パソコンやスマホによる目の使いすぎ
- デスクワークで首や背中がコリ固まる
- 小難しい客先との商談で気疲れ
- 飲みに行っても小言
- テレビをつければ暗いニュース
このようにストレスを感じる環境におかれていると、カラダの中ではストレスに負けないためのホルモンがたくさん使われるようになります。
副腎はホルモンを常に出していかなければならないので休まることができなくなり、どんどん疲労していきます。
このような疲労を「副腎疲労」や「心と神経の疲労」といいます。
上に書いたような精神的なストレス以外にも
- 過度な運動
- 糖質の過剰摂取
- 生活習慣
- 大気汚染
- 食品添加物
これらでも副腎疲労を起こすことがわかっています。
ストレスに負けないぞホルモン
カラダにストレスを感じ続けると脳はストレスに負けないため、副腎にホルモンを出すように命じます。
そのストレスに対抗するホルモンが
[keikou]コルチゾール[/keikou]
という副腎から分泌されるホルモンです。
ストレスが多い状態でいると、カラダはストレスに負けないためにコルチゾールが過剰に分泌されます。
この状態が続くと副腎が疲れてしまい、必要なときに十分なコルチゾールを分泌できなくなり、ストレスに対抗できなくなります。
副腎疲労はコルチゾールの分泌低下とも言えますね。
コルチゾールは血糖値や血圧、免疫機能や神経系のサポートを仕事としているためここら辺のコントロールが利かなくなり、様々な症状を出すことがわかっています。
気になる副腎疲労の症状
- 頭痛
- ふらつき
- 立ちくらみ
- 冷え
- 疲れやすい
- 朝起きられない
- 動悸
- 不眠
- 甘いものがやめられない
- 鬱状態
- 記憶力の低下
- 集中力の低下
- 風邪をひきやすくなかなか治りにくい
- アトピーの悪化
などなどあげるときりがありません。
日本では副腎疲労を意識されるドクターが少ないため、うつ、自律神経失調、睡眠障害、起立性調節障害などと診断され、有効な治療を受けられていない可能性があります。
副腎疲労と性ホルモンの関係
さて、ここからが妊活との関係です。
副腎疲労の症状ではあげませんでしたが、妊活に関係するところだと
- PMSの悪化
- 無月経
- 生理不順
- 性欲低下
などがあります。
実は副腎疲労には3段階あるとされています。
STEP1:コルチゾールが過剰に分泌される
ストレスは感じるが、やる気をだせば仕事などのストレスに立ち向かっていける状態。
コルチゾールの分泌量は多いため、副腎には知らず知らずのうちに負担がかかっています。
副腎でコルチゾールを過剰分泌していくと、ホルモン共通の材料であるコレステロールから作られるテストステロン(男性ホルモン)が減少し、男女ともに性欲が減退していきます。
感情のコントロールが利かなくなったり、眠りが浅くなったりします。
女性の場合はテストステロンから生成されるエストロゲン(女性ホルモン)も減少することがわかっています。
そのため、30代や40代の方でも更年期のような症状、イライラやうつうつ、ほてりが現れることがあります。
第2段階:コルチゾールが徐々に分泌されにくくなる
副腎のオーバーワークによって、コルチゾールを産生する能力が低下してきます。
集中力、やる気が低下、さらにストレスを感じやすくなる悪循環の始まりです。
第3段階:コルチゾールがほとんど分泌されなくなる
突発的に倒れる、起き上がることができなくなる、強いめまい、うつ病のような状態になるなど、日常生活が困難な状態になります。
本来、コルチゾールは起床時に最も多く作られます。
ですが分泌が低下しているため朝起きられず、やる気のスイッチも入らなくなってしまいます。
長ったらしくつらつらと書いてしまいましたが、簡単に言うと
ストレスを感じている状態が続くと、生命維持のためにコルチゾールが優先され、[keikou]共通の材料から作られるテストステロンやエストロゲンが減っちゃう[/keikou]
=[keikou]卵子や精子の質に影響する[/keikou]
ってことになります。
ストレスケアが妊活には重要なことがお分かりいただけたでしょうか?
副腎疲労のケアには何がおすすめ?
ズバリ耳ひっぱりがおススメです。
【やり方】
座ったままでも、立ったままでもOKです。
- まず姿勢を良くして、視線を目の高さに向けて軽くまぶたを閉じる
- 中指を耳のくぼみに軽く入れ、親指は耳の後ろに添えて、薬指と小指は耳の付け根あたりにそっと置く
- 脇を開いてひじを横に、そのまま両耳を頭の側面からほんの2~3ミリ浮かせるように、気持ち斜め後ろへそっとひっぱる
- 静かに呼吸をします。続けていくと、頭の中心(両耳の間)あたりに小さな空間が感じられるようになる
- 頭の中がすっきり、体がリラックスしてきます。気持ちも自然と穏やかに
1~2分程度を目安に行ってみましょう。
1日に何回行っても大丈夫ですので、疲れを感じたり、集中したいときなど好きなタイミングで行ってください。
その際に大切なのは、この後説明する「メカニズム」をイメージしながら行ってください。
何も知らずにただ耳をひっぱるのでは効果半減。
ひっぱることで頭の芯の骨である「蝶形骨」が自由になり、ふわっとした感覚が「横隔膜」まで伝わる様子を想像できると、実際に体の中でその反応が起こりやすくなります。
【メカニズム】
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ストレスにさらされると、感覚器官である「目」「鼻」「耳」「口」が緊張する
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感覚器官が緊張すると、それらと筋肉でつながる頭の芯=「蝶形骨(ちょうけいこつ)」がズレてくる
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[sankaku][/sankaku]
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「蝶形骨」のズレはカラダの芯である「横隔膜」にも伝わり、内臓が不調になる
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常に疲れやすい体になってしまう
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[sankaku][/sankaku]
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副腎疲労に
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緑色の骨が蝶形骨です[/spcol2][spcol2]
横からみた図[/spcol2][/spcolwrap]
[topic color=”red” title=”なぜ、頭の芯の疲れが体の芯に伝わってしまうのか”]
その理由は、蝶形骨と横隔膜を結ぶ筋膜にあります。横隔膜はみぞおちの奥にあり、呼吸をするための筋肉です。
筋膜は、頭のど真ん中で脳を支える蝶形骨から始まり、気管や食道、血管、心臓を包みながら、横隔膜まで包んでいる薄い膜。
蝶形骨のズレが筋膜を通じて横隔膜に伝わり周辺の内臓や筋肉も緊張させてしまいます。
カラダがなんかだる重くなる。この負の連鎖を止めるには、メカニズムを逆にたどっていけば良いのです。[/topic]
まとめ
[aside type=”sky”]
- 副腎疲労はストレスがたまると起こる可能性
- 副腎疲労が起こると様々な症状を出す
- 妊活においては性ホルモンの分泌が低下
- 卵子と精子の質に関わる
- ケアをするには耳引っ張りがおすすめ
[/aside]
ストレスとは上手に向き合いたいですね。