はりきゅうの仕組み
はりきゅうは、からだの仕組みを利用して症状を改善し治癒に導く治療法です。
カラダを治す仕組みの中で、特に重要なものが自律神経反射です。
はりきゅうで卵巣・精巣などの内臓・器官の働きが良くなったり、筋肉の血流が改善するのは、自律神経反射の作用です。
反射とは?
自律神経反射の前に、まず反射についてご説明します。
- 手で熱いフライパンに触れた⇒手を引っ込める
- 足で画鋲を踏んだ⇒脚を引っ込める
- 顔に向かって物が飛んできた⇒思わず目をつむる
カラダにはこういう反応を起こす仕組みがありますが、この刺激からカラダを守る反応を反射と言います。
これらの反射は、
[flow] 感覚神経[/flow] [sankaku][/sankaku] [flow] 脊髄(または脳)
[/flow] [sankaku][/sankaku] [flow] 運動神経
[/flow] [sankaku][/sankaku] [flow] 筋肉
[/flow]
と情報が伝わって反応が起こっています。
はりきゅう治療と「反射」には深い関わりがあります。
はりきゅうに関係のある反射は、上に書いた運動神経や筋肉が働く反射ではなく自律神経が関わる反射になります。
ここで、先にあまり馴染みのない自律神経についてご説明していきます。
神経には大雑把に分けると
- 感覚神経
- 運動神経
- [keikou]自律神経[/keikou]
の3種類の神経があります。
- 感覚神経は痛覚・視覚・聴覚・味覚などの情報を脳に伝えます。
- 運動神経は脳からの命令を神経を伝って筋肉に伝え筋肉を動かします。
- [keikou]自律神経は脳から伝達を、内臓(生殖器官・心臓・肝臓・胃腸など)や様々な器官(血管、汗腺、立毛筋、眼の瞳孔など)に伝え内臓・器官を動かしています。[/keikou]
自律神経は血流を調節、心臓や胃腸を動かし汗をかき体温を調整・・・・
とこのように無意識でカラダの様々な働きを調整し、生命を維持するために働いています。
自律神経反射とは?
はりきゅうに関わる自律神経の反射は、体性自律神経反射と言います。
体性ー内臓反射とも呼ばれています。
はりやおきゅうの刺激は、皮膚の感覚器でキャッチされ感覚神経を伝って脳へと連絡し、
最終的に脳⇒自律神経⇒内臓・器官と伝達され、内臓・器官の働きを調整します。
心臓の心拍数や末梢の血流を指標にした研究では、はりきゅうの刺激では主に
- 交感神経の機能抑制
- 副交感神経の機能亢進
が起きることが証明されています。
交感神経は心拍数や血圧を上昇させる「活動の神経」、
副交感神経は胃腸や内臓器官の機能を促進させる働きがあり「休息の神経」と呼ばれます。
はりきゅうの刺激により交感神経を抑えてと副交感神経を優位にすることが起きるということは、[keikou]興奮状態の体を休息状態へ上手に切り替えるのに有効[/keikou]だといえます。
現在の人々は過緊張状態で長時間働き深夜まで煌々と照らされる照明だったり、スマホ、テレビ、パソコンなどから強い光の刺激を受けており、常に交感神経が興奮状態に置かれています。
交感神経が興奮状態でいることが色々なカラダのトラブルを引き起こす要因になっていると考えられています。
交感神経興奮状態に置かれたわれわれ現代人にとって交感神経を抑えてと副交感神経を優位にすることを促すはりきゅう治療は、心とカラダを癒すのにとても効果的な治療法と言えます。
実際に南雲らが体性内臓反射について症例報告をした妊活に対する鍼灸治療の3例では、
考察として『今回の不妊鍼灸治療の作用機序として体性-内蔵反射を通じて自律神経の調節が図られ、子宮の血液循環が良好となり子宮内環境が改善して妊娠・出産に結びついた。さらに棒灸を併用したことにより東洋医学的に「気の温煦作用」が高められ、良好な成績を得た』※1
と推察した報告もあります。
以上のカラダの反応や研究によるデータや実績により、子宮・卵巣、精巣への血流の改善が期待できます。
引用文献) ※1第65回 公益社団法人.全日本鍼灸学会.学術大会.北海道大会.抄録集.2016